気候変動の影響と適応策

自然林・二次林(ブナ)に関する気候変動の影響と適応策

影響

既に現れている気候変動による影響

地域:九州

将来懸念される気候変動による影響

ブナ

  • 温暖化後の分布適域面積は、CCSR/NIESシナリオでは9%、RCM20シナリオでは37%に減少すると予測される。九州、四国、本州太平洋側の分布適域はほとんど削減する。
  • 温暖化に伴い低標高域はブナ林の成立にあまり適さなくなり、九州、四国、本州太平洋側ではコナラ、ミズナラ、クリ、カシ類、モミ、イヌブナがブナに置き換わる樹種になると想定される。
  • 九州、四国、本州太平洋側のブナ林の多くは分布確率が低下するので脆弱性指数が高くなり、温暖化に対して脆弱であると予測された。

地域:九州

特記事項:<気候変化シナリオ>

  • 温室効果ガス排出シナリオIS92aに基づく気候変化シナリオCCSR/NIES
  • 排出シナリオSRES-A2に基づく気候変化シナリオRCM20

ブナの成立を阻害する要因

四国・九州では夏期の高温と冬期のの乾燥(暖かさの指数(WI)が89.6未満、冬期降水量(PRW)が494未満)

気候変動適応策

西日本の常緑樹林の上限に接しているブナ林における常緑種の侵入のコントロール

地域:九州

関連する気候変動情報

将来予測

現在の気候データと将来予測データの比較(全国平均)

  • CCSR/NIES:平均気温が4.9℃上昇、暖かさの指数(WI)が42℃・月上昇、最寒月最低気温(TMC)が5.1℃上昇、冬期降水量(PRW)はそれほど変化しないが、夏期降水量(PRS)が増加
  • RCM20:平均気温が2.9℃上昇、暖かさの指数(WI)23℃・月上昇、最寒月最低気温(TMC)、冬期降水量(PRW)はそれほど変化しないが、夏期降水量(PRS)が増加

地域:全国

情報源

情報ソース
大学・研究機関
出典名
天然林の分布を規定する気候要因と温暖化の影響予測:とくにブナ林について
作成時期
2006年2月17日受理