気候変動の影響と適応策
増養殖等 (タイラギ、アサリ、バカガイ、クルマエビ、ノリ)に関する気候変動の影響と適応策

- 水産業
- 西日本
- 福岡全域
- 国
- 公開日
- 2021年03月17日
影響
既に現れている気候変動による影響
タイラギ
- ①有明海においては、佐賀県や福岡県などのタイラギ漁場で4~7 月および9~12 月にかけてナルトビエイの食害が観察されており、2000 年以降に発生しているタイラギの大量死の原因の一つとされる。
アサリ、バカガイ
- ②周防灘に面する山口・福岡・大分各県でもアサリ漁場やバカガイ漁場における食害が問題となっている。
- ③周防灘沿岸の山口県、福岡県、大分県すべての海域で冬季水温と各県のアサリの漁獲量はいずれも強い負の相関を示し、冬季の水温が高いとアサリの漁獲量が減少する傾向を示した。
クルマエビ
- ④最近20 年間のクルマエビおよびその他エビ類の漁獲量の減少傾向には、水温上昇および干潟環境の悪化に加えて、内湾底層の夏季低酸素化の影響が伺える。
ノリ
- ⑤有明海は全国有数ののりの産地であるが、近年秋口の水温低下がなかなか進まず、採苗が遅れる傾向が認められている。
地域:,西日本
特記事項:①②③⑤:全県
④:西日本
将来懸念される気候変動による影響
クルマエビ
- 水温上昇と海面水位の上昇による干潟の減少および浅所の水温上昇に伴う成層の顕在化が続く可能性が高い
スサビノリ
- 短期的(現状+1.0℃上昇時)には、有明海では1月以降水温20℃以下となり養殖可能となる。東京湾から有明海に至る養殖漁場では、養殖時期が1ヶ月程度遅れる。
地域:西日本
特記事項:地球温暖化予測情報第5報(気象庁、H15.3)、IPCC 第3次報告A2 シナリオに準拠
気候変動適応策
タイラギ、アサリ、バカガイ(ナルトビエイ対策)
- 小規模な漁場<被覆網や立て杭の設置>
- やや規模の大きい漁場<電磁パルスを用いたナルトビエイ忌避装置の開発、刺し網による駆除>
クルマエビ
- 干潟、内湾環境の保全
- 大型人工種苗の放流
地域:全県,西日本
主体:国
関連する気候変動情報
現状
海水温
瀬戸内海の海水温は1980 年代からそれ以前の10 年間と比較して上昇する傾向があり、なかでも冬季水温の上昇は顕著である。
地域:西日本
情報源
- 情報ソース
- 大学・研究機関
- 出典名
- 水産資源ならびに生息環境における地球温暖化の影響とその予測
- 作成時期
- 時期不明